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京都 懐石料理|蛤 香煎揚げ|祇園 華舞
2026.05.16

蛤香煎揚げという一皿には、火入れの緊張がそのまま現れます。
外側に香ばしさを纏わせながら、内部の水分と旨味を損なわないように整えるには、温度と時間の許容が極めて狭く、その一瞬に全てを委ねることになります。揚げという技法でありながら、実際には焼きと蒸しの要素を内包させる設計であり、油の温度帯と投入時間の判断がそのまま仕上がりを左右いたします。
合わせるのは、オニオンヌーボー。いわゆる新玉葱の走りにあたるこの時期のものは、糖度が完成しきる前段階にありながら、辛味の角が柔らかく、瑞々しさに特徴があります。完成された甘さではなく、未完成であるがゆえの軽やかさが、蛤の持つ厚みある旨味と対比を生み、皿全体の輪郭を明確にいたします。
椎茸は香りの層を補い、クレソンは苦味によって余韻を引き締め、芽葱は青さで全体を繋ぎます。それぞれの役割は明確でありながら、過度に主張することなく、あくまで蛤という存在に向き合うための構成となっております。
最後に合わせるちり酢は、酸を前面に出すのではなく、出汁との均衡によって全体を一つの流れへと整えていただくためのものです。強さではなく、静けさによって調和を導く設計となっております。
料理は主役ではなく、食材に整えていただくための媒介に過ぎません。
一期一会の御馳走という考えのもと、祇園華舞では一日一組様に限り、その瞬間に最もふさわしい形で向き合っております。

都 伸廣が華舞の屋号を引継ぎ【一日一組様の貸し切りでお迎えする日本料理店】
祇園 華舞は「一期一会の御馳走」を通じて、作り手と食材、
そしてお客様の心を繋ぎ、感動を提供し続けます。
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