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京都 懐石料理| 重陽の節句 着せ綿|祇園 華舞
2026.09.26

夏の名残が静かに遠のき、秋の気配が少しずつ深まってまいりました。
日本には、季節の移ろいを暦の中に受け止め、食や花、酒、器、しつらいに表してきた文化があります。
重陽の節句も、そのひとつです。
九月九日は、九という陽の数が重なることから重陽と呼ばれ、古くから菊と深い関わりを持ってきました。菊酒をいただき、長寿や無病息災を願う習わしが伝えられてきたことから、「菊の節句」とも呼ばれています。
祇園華舞では、この重陽の趣を一皿の中に映しました。
氷の釣瓶に収めたのは、菱蟹、雲丹、菊芋、木の芽、花穂。
そこへ旨出汁のジュレを合わせ、それぞれの味わいが重なりながらも、食材そのものの輪郭が残るよう整えています。
そして、料理の上に添えたのが、菊葉と菊花、そして着せ綿です。
着せ綿とは、重陽の節句にまつわる古い風習です。
重陽の前夜、菊の花に真綿を被せて一夜を置き、翌朝、その真綿に移った菊の香りや夜露を身に受け、長寿や無病息災を願ったとされています。
今の私たちから見ると、花に真綿を着せるという所作は、少し遠い時代のものに感じるかもしれません。
しかし、その姿を考えてみると、日本人が季節をどれほど細やかに受け取っていたのかが見えてきます。
菊を眺める。
香りを感じる。
夜露を受ける。
酒に重ねる。
そして、これからも健やかに過ごせるよう願う。
季節を目で見るだけではなく、香りや味わい、身体の感覚まで通して受け止める。
そこに節句文化の豊かさがあります。
料理もまた、味だけで完結するものではありません。
食材を育ててくださる生産者様。
海から恵みを届けてくださる漁師様。
酒を醸してくださる酒蔵様。
器や道具を生み出してくださる職人様。
多くの方々の仕事に支えていただきながら、一皿が形になります。
だからこそ、食材は単に料理に用いるものではなく、託していただいたものとして向き合いたい。
その価値を損なわず、その季節にふさわしい姿へ整えていただく。
店主・都伸廣が大切にしているのは、料理そのものの新しさだけではありません。
先人から受け継がれてきた日本料理の技術や歳時記を大切にしながら、今の時代にもう一度その意味を伝え直すこと。
重陽の節句に菊酒をいただき、着せ綿に願いを託した人々の感性も、そのひとつです。
一日一組様に心を尽くす祇園華舞では、料理を召し上がっていただく時間そのものを、日本の季節や文化に触れるひとときとして考えています。
氷の釣瓶に映る秋の気配。
菊の姿に託された願い。
そして、食材からいただく滋味。
そうしたものが静かに重なった先に、一期一会の御馳走があります。
料理を通して日本の文化を未来へつないでいくこと。
それもまた、私たちが大切にしている仕事のひとつです。

都 伸廣が華舞の屋号を引継ぎ【一日一組様の貸し切りでお迎えする日本料理店】
祇園 華舞は「一期一会の御馳走」を通じて、作り手と食材、
そしてお客様の心を繋ぎ、感動を提供し続けます。
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