スタッフブログ
京都 懐石料理| 椀 三日月豆腐|祇園 華舞
2026.10.3

秋の夜が少しずつ長くなり、月の美しさが心に残る季節となりました。
日本料理では、季節の移ろいを食材だけでなく、器の形や盛り付け、香り、色彩にも映してきました。
今回のお椀には、三日月に見立てた玉子豆腐を据え、名残を迎えた鱧、松茸、柚子、梅肉を合わせています。
三日月豆腐は、その名の通り三日月の形に見立てた玉子豆腐です。
椀の中に月を置くことで、食材そのものだけではなく、秋の夜の情景まで感じていただく。
日本料理には、こうした自然を料理の中へ取り込む美意識があります。
そして、この時季ならではの食材が鱧と松茸です。
鱧は京都の夏を代表する食材として知られていますが、秋には「名残鱧」として、季節の終わりまで大切に味わわれてきました。
日本料理では、旬の真ん中にある盛りだけが価値なのではありません。
走りには走りの清々しさがあり、盛りにはその食材が最も充実した味わいがあり、名残には、その季節を惜しむような深い余韻があります。
名残鱧を松茸と合わせることで、夏から秋へと移りゆく季節の境目を、一椀の中に表しました。
松茸は、食べた瞬間の味だけでなく、椀を目の前にしたときに立ち上がる香りそのものが魅力です。
そこへ柚子の香りを重ね、梅肉の酸味を添える。
それぞれを強く主張させるのではなく、お出汁の中で互いを尊重させながら、最後にひとつの味わいへ整えていく。
それが日本料理の仕事のひとつだと考えています。
先付で重陽の節句と菊を表現したように、お椀でもまた、料理を通して日本の季節を伝えています。
重陽の節句には、菊酒をいただき、長寿や無病息災を願う文化が受け継がれてきました。
菊を愛で、香りを感じ、酒をいただく。
そこには、季節を五感で受け取りながら暮らしてきた日本人の感性があります。
料理も同じです。
目で見る。
香りを感じる。
湯気の気配を受け取る。
そして、口に含んだ瞬間に身体へ染み渡っていく。
店主・都伸廣が目指しているのは、派手さや驚きを競う料理ではなく、身体に自然と染み渡る美味しさです。
生産者様から託していただいた食材に向き合い、その持ち味が最も生きる調理と盛り付けを考える。
その積み重ねの中で、日本料理を一歩ではなく半歩進めながら、同時に先人から受け継いだ文化を未来へつないでいく。
祇園華舞の料理は、そのための一つの場でもあります。
一日一組様に心を尽くす時間だからこそ、目の前のお椀の中にある食材だけではなく、その背景にある季節や美意識まで感じていただきたい。
月を思わせる三日月豆腐。
名残の鱧。
秋を告げる松茸。
柚子の香りと梅肉のひとしずく。
それらが一椀に重なったとき、料理は単なる一品ではなく、その季節にしか生まれない時間になります。
その一瞬を心に残していただくこと。
それもまた、一期一会の御馳走なのだと思います。

都 伸廣が華舞の屋号を引継ぎ【一日一組様の貸し切りでお迎えする日本料理店】
祇園 華舞は「一期一会の御馳走」を通じて、作り手と食材、
そしてお客様の心を繋ぎ、感動を提供し続けます。
ご予約はこちら 『祇園華舞予約ページ』
動画等はこちら 『華舞インスタグラム』 をクリックくださいませ。